久々に灰羽連盟をみた

f:id:Isurugi_Yoriharu:20170201215211j:plain

 

 serial experiments lainより圧倒的に作画が足りていない感じがしたのが悲しかった。

 

 主要人物が軒並み羽と輪っかをつけているということで、基督教的な訓示を含んだ物語と思いきや、肝心の羽と輪っかを付けている連中は労働に勤しんでいるし、しかも無賃労働に近い扱いで人間にこき使われる立場だし、なんだかよくわからないな、とりあえずかわいそうだなあ、というのが第一印象だったことを思いだした。

 あるいはこの物語は、抑圧されるばかりで反抗を知らぬ日本の労働者が喜んで労働に奉仕する様を戯画的に描いたものかもしれない。最近ではニューゲームというアニメに、お互いを美少女としか認識できなくなったサラリーマンのオッサンの悲哀を描いた作品ではないかという疑惑がかけられていたが、あれの先駆けがこの灰羽連盟だったのかもしれない。

 

 もうすこし真面目に作品を語ってみると、安倍吉俊のセンスの良さが存分に登場人物に反映されているなと感じた。特にレキのデザインは秀逸だと思う。不良っぽいけど明らかに不良ではない感じが良い。だけれど完全にお人よしという感じでもなくて、他人に決して侵害されたくない領域を心の隅に抱えている、そういう設定が透けて見えてくる感じ。一目見た瞬間にオールドホームで歩んだレキの人生がみえてくる感じがする。

 あとは世界観の作りこみなんかが良い。たとえば灰羽たちの住む町は壁で囲まれていて、壁から出ることができない。一部の存在だけが壁の向こうへ行ける。灰羽たちは使い古しの物しか使ってはいけない。灰羽はある日突然消え去ってしまう。街の外からやってくる人々は宗教的な衣裳をまとっていて、彼らに灰羽たちは言葉を交わすことができない。

 

 どことなく幻想的で独特な風習がある世界は、私たちの現実と微妙にリンクしている気がする。というのもそれらの設定は私たちの常識からすると一見奇抜なのだが、不思議とすっと受け入れることができる。千と千尋の神隠しを想像してもらえるならわかりやすいと思う。

 安倍𠮷俊の世界と私たちの世界は大きく異なるように思うけれど、なぜかその垣根はとても低くて、気軽にあっちへと渡ることができる。その辺の特長が、灰羽連盟がこれほどまでに長く多くの人々の支持を集める理由なのかなあと感じた。