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石動乃絵に学ぶ冬の表情

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 久々にtruetearsを観た。観返せば観返すほどこのアニメは1話冒頭から比呂美がゴールするように物語が動いていることが理解できるのでその度に私はただならぬ怒りに襲われたのだが、今回は比較的心を穏やかに作品を読み解くことができた。ような気がする。というのも比呂美ENDへ至る道は岡田磨里によって用意されたわけはなく、物語それ自身が塗装したのだと考えるようになったからだ。

 仲上眞一郎はどのような男だったか。作中から観察できる彼の性質は、極めて常識的な範囲に収まっている。親友が恋に悩んでいるから友達として行うべき仲介役を買って出るし、地元の名士の一人息子だから祭の踊り子を引き受ける。女の子が木の上から飛び落ちたら男として助けに行かなければならないし、いうべきではないと分かっている非難を居候の幼馴染にぶつけてしまう。彼は押し付けられた役割を忠実にこなす平凡な人間だ。

 彼は平凡な男から脱することができなかった。幼馴染の女から暗に言い寄られた男の役割を彼は非自覚的にこなし、それが物語の結末を決定している。

 作品の世界を構成する要素(登場人物、生活環境、過去に発生した事件…)の相互作用によって物語の行くべき先(状態)は決定する。言い換えると、物語の結末となるべき状態は物語に与えられた初期条件によって決定する。脚本家の行うべきことは未完成の作品という問題を解くことで物語の結末という答を得て、それを視聴者に提示する事なのだろう。

 つまり、truetearを乃絵ENDへと導く方法は、仲上眞一郎を抹殺すること以外には無いのだ。