城端むぎや祭_PA宿泊オフ会_2017

今年もやってきてしまった。

truetearsファンならだれもが知る城端むぎや祭である。

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毎回一人でビールを飲んで、雨に打たれながら踊りを眺めて帰るだけなので、今回はオフ会に参加してみた。

 

城端駅下車後、まずは集合場所の駐車場に向かった。

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初めて生で見たかもしれない乃絵痛車

圧倒的存在感だった。

数年間デザインがほとんど変わっていないのが凄い。できれば主には生涯乃絵痛車でがんばってもらいたい。

 

この周辺には(私を含めて)一目でPAオタクと分かる人々が集結していて、祭りの雰囲気とは全く異質な存在感を発揮していた。

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PA旧社屋。閑散としていた。

 

ブログを書く為に撮った画像を流し見してみると、肝心の祭の踊りを全く撮っていないことに気が付いてショックを受けた。

 

雨がぼつぼつ降ってきたので宿泊オフに参加するオタク人達と共にコテージへと向かった。

ttの話題が当たり前のように通じることに感動した。

 

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おでん探偵 and so on。

 

会場では主催者の人が再生機器と大量の円盤をもってきてくれて、酒を飲みながらのPAアニメ鑑賞会が始まった。

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かわいい。

 

しばらくしてttが始まった。

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あっという間にバイク暖取りシーンがはじまった。

利用できるものはなんでも利用する比呂美にあらためて戦慄する。

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比呂美のことを罵りながら実況したくてたまらなかったけど、悪いのは比呂美であって、オフの場に居た比呂美派の人々は悪くないので思いとどまった。

 

最終話あとに後日談と思われる特典映像が流れ始めてびびった。

乃絵に友達ができるという展開に私の心は救われた気がした。

 

就寝。

次の日。

 

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宿泊したコテージのすぐそばにPA新社屋があるらしいので連れて行ってもらった。

時刻はだいたい8時。

外観は現代的で開放的な感じだったけど、休日で、しかも玄関が閉ざされているにもかかわらず二階に電気がついていた。

おそらく徹夜でアニメ制作作業をやっていたのだろう。

アニメ業界のブラックさを再認識した。

 

次に桜クリエカフェにいってきた。

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オタクを楽しませる意匠が凝らされていて、大変よかった。

ここではよろこぶそうめん(約1300円)が売られている。

PAの次回作に期待する人は是非課金してほしい。

 

帰りは車に同乗させてもらって金沢湯涌温泉へと向かった。

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放送当時に行ったときと比較すると、オタクコンテンツのボリュームとクオリティが格段に上がっていて、湯涌はまだまだ現役だなと分かった。

いつの間にか格安のゲストハウスもできているし、PAオタクの人はぜひ足を運んでほしい。

 

台風がきていたので14時に金沢発。

 

今回はかなり楽しかった。

やはり同志と交流することは素晴らしいことだなあ。

来年もぜひオフ会に参加したいと思いました。

 

おわり

serial experiments lainの90年代

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 lainの5話を観ていると、そういえば90年代にはこういうオカルティックな演出がテレビで流行ったな、と懐かしい気持ちになる。思えば、90年代の後半には新興宗教やらノストラダムスやら心霊現象のブームやらがあって世間はそれに沸いていた。

 lainの5話にはあの時の退廃的な雰囲気が濃縮されている。

 そして、00年に突入するとそういうブームがぱったりと消えて、社会が別のフェーズに相転移したのを肌身で感じた記憶がある。

 社会の技術は進歩した。あのときから日本社会は確実に没落していったんだけど、一方世の中のIT技術は素人にもわかるぐらい劇的に向上していって、例えばインターネットの速度は恐ろしく早くなっていって、パソコンの上でできることはどんどん多くなっていった。midiを聴いていたのが、いつのまにか音楽CDの音源を直接楽しめるようになった。個人発信のFlashコンテンツは、大手動画サイトが仲介する映像コンテンツに置き換わった。

 そんな中、いつのまにかモデムのピーガー音を聞かなくなった。

 いつから聞けなくなったんだろう。

 気の狂った岩倉美香をみていると、あの90年代の記憶が蘇ってくる。

serial experiments lainはわからないのに

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わからないのに面白いのが困る。さらに、自分の周囲での評価が良いので困る。

これは誘い笑いに近い感情ではないか?周りが笑っていたら、なんだかよくわからないが自分もつられて笑ってしまうことがあるように。

ある作品に対する、自分にとっての評価をうまく言語化できない場合、その評価はどこからもたらされたものか、うまく客観的に考えることができない。

もしかしたら、隣で一緒に視聴していた友人が凄く楽しそうに観ていたことだけを鮮明に覚えていて、その記憶だけが上手く自分の心の中にある作品の評価に接続して、「なんだかおもしろかったなあアレ」と記憶が変質してしまっただけかもしれない。

私たちの記憶や感情は曖昧で、周囲の影響を絶えず受けている。それによって評価される対象の好悪も、やはり曖昧で、周囲の影響を絶えず受けている。

 

逆も然りだ。周りが悪く言うので、なんとなく悪い評価をつけてしまうことがある。

自分自身を、少し自分から離れて観察することは大切な気がする。特に悪い評価をつけてしまった場合には、注意深く自分を観察したほうが良いと思う。

魑魅魍魎のインド

帰国直後、原因不明の高熱と下痢と吐き気に襲われ、肉体的にも精神的にも完全に死んでいたけどようやく復活の兆しが見え始めたのでブログを書くことにした。

 

訪問都市:

デリー→アーグラー→ワラナシ→デリー

日本人が良く行く道を素直に通った。

 

日程:

4/29~5/8

 

人数:

3→2→3→1

 

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〇デリー編:

中國東方航空でインド・インディラガンディー国際空港へ。

トータルフライト時間は9時間程度。

 

深夜到着でヘトヘトの中入国審査の長蛇の列を待つ。

やっと審査員の前までやってきてパスポートを渡したら審査員が隣の同僚に声をかけて僕の顔を指さして笑いだした。それ以外はとくに何事もなく審査終了、通過。

 

朝になるのを待ってデリー市街に出た。

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こんな感じで牛が大量にそのへんを歩いている。

あと野良犬、ヤギもうようよしていて、非常にスリルがある。

 

まあ牛や犬などは実は全然問題にならなくて、デリーで本当に参ったのは客引きである。曖昧な態度をとりつづけると延々とついてくる。

で一人の客引きインド人を躱すと間髪いれず次のインド人がやってきて、ホテルやら旅行会社に誘導しようとする。これをホテルに逃げ込むまで延々と繰り返した。

 

あと、デリーの駅前で道を聞くと取り敢えずタクシーに載せられてよくわからない旅行会社へと連れていかれた。旅行会社を断って駅に戻るようにいうとまた別の旅行会社へと連れていかれた。

 

デリー訪問わずか数時間でこの街が嫌になった。

 

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デリーのモスクは本格的でよかった。

 

〇アーグラー編:

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デリーから電車で3時間ほどの場所にある観光都市。

駅前の客引きがデリーより酷くて、公衆便所に4人ぐらいのタクシードライバーがついてきた。

このタクシーのおっさんの一人にとりこまれ、アーグラーにいた2日間ずっと高価な土産物屋巡礼に付き合わされるはめになった。

 

タージマハルのことはあまり覚えていない。逆に強烈に覚えていることといえば、1日目の夜、売春宿につれていこうとするタクシーのオッサンを振り切り、タージマハルの前の前の広がる旧市街に逃げ込んだら脱出できなくなって、自暴自棄気味にペットボドルを振り回しながら歩いていたら犬に吠えられ、十数メートル追いかけられ、その間偶然横にいた二人組のインド人の少女にゲラゲラ笑われたことだ。

 

※アーグラーの旧市街は本当に迷路みたいで、一度迷いこんだら土地勘のない人間は決して自力で脱出できなくなるので、注意したほうがいいです。

 

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タージマハルは細部にも意匠が凝らされ、異様な感じだった。

 

〇ワラナシ編:

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アーグラーからさらに400メートルほど東へと進めばヒンドゥー教の一大聖地がある。

ガンガーの川沿いに広がる街、ワラナシである。

この街もやはり客引きが酷かった。(個人的にはデリーより酷かった)

 

ここは今回、最も強烈に記憶に残った街で、なぜかというと結構な数の基地外に絡まれた。

 

①火葬場を見つけてしばらく人間が焼けるのを眺めていたらヤンキー風のインド人が隣についていきなりガイドを始めた。ノーマネーだよと確認の上で話を聞いていたら高台の上につれていかれそうになる。断固拒否したら、いきなり豹変して鬼の形相で怒鳴り始めた。多分この街からでていけ、クソ日本人!みたいなことを叫んでいたと思う。

怖かったので逃げるようにして川沿いの旧市街へと逃げ込んだ。

 

ここの旧市街も迷路めいた形になっていて、同じ場所に何度も何度もたどり着いてなかなか脱出できなかった。後ろからあの病的なインド人が追いかけてくるのではないかと思うと、気が変になりそうだった。

 

②やたらキレ気味の関西弁を使いたがる不良インド人の客引きに捕まる。

まさかインドで「なんでやねん!」「お前なんやねん!」をきくことになるとは思わなかった。

地球の歩き方にも掲載されているというシルク土産屋に連行されたが、店構えが明らかに普通の店じゃなくて入店を拒否したら殴りかからんばかりの形相で腕を捕まれる。

怖すぎたのでTシャツを1枚買って逃げた。

 

③裏路地のような旧市街でハッパ、ハッパと囁く太ったオッサンに腕を捕まれそうになる。空いてる手で自分の股間をもみしだいていて、これは本当に怖かった。

 

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街自体は素晴らしかった。日没のガンガーを船の上でゆったりしながら楽しむのは本当に良かった。

 

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この修行僧のオッサンに100ルピーほどお布施したら写真撮影サービスもしてくれた。

 

〇デリー(二回目):

帰国するためデリーへ。しかし深夜のフライト便が2時間delayしたことで睡魔に負け、乗り過ごした。

絶望的な気分で空港を出て、デリー市街にある中國東方航空の予約受付オフィスへ。

翌日の便で帰ることになったので美術館(写真撮影OK)と大統領府へ寄った。

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美術館は展示物が非常に豊富で、当然ながら客引きもいないのでかなり快適だった。

一日中時間を潰せる。

 

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結構な観光スポットになってた。

 

→次の便で無事帰国できた。

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学んだこと:

①できれば旅行先の空港内に窓口のある航空会社を使った方が良い。

インドの場合はエア・インディア。

チケット再発行の手間が全然違う。

②最後まで気を抜いてはいけない。

③積極的に話しかけてくる人はヤバイ。何か情報が欲しければこちらから誰かに尋ねること。

 

④GoogleMapはいつでも使えるようにしといたほうがいい。

ない場合は方位磁石。とにかく自分の位置や、向かうべき方角を少しでも知る手がかりがあるとかなり楽。

レキに学ぶ灰羽連盟

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 愛煙家で、若くて、声の低い女はアニメの世界においてはテキトーな人間であると私は固定観念を持っていて、これはひとえに苺ましまろというアニメで登場する女子短大生伊藤伸恵が、私の高校時代のオタクライフのシンボルであったことに由来します。

(余談だが、煙草を吸う声の低い女を最近のアニメ界隈でさっぱり見かけなくなった気がする。いたら紹介してほしい)

 ところで灰羽連盟を視聴済みの方はとっくに気が付いていると思いますがレキという人は根本的な部分でテキトーなところがなくて、たとえばオールドホームに新しい仲間が誕生すると聞いたときに大喜びして、率先して世話役を引き受けていたのはレキです。そういう人間性からみんなから信頼されているように見えるが、一方妙に暗い、つっけんどんな側面つまりウィークポイントがレキにはあって、これが後々の物語の方向性を決定することになっています。で、最後はレキがラッカにおんぶにだっこ状態になって灰羽連盟はめでたし、となる。

 ラッカがオールドホームにやってきたのは春で、楽しい夏をみんなで過ごした後に、秋になり、たぶんこの辺でクウが消え、冬になり、ラッカが罪憑きになり、暗い話が多くなり、そんな中でラッカが精神的に成長して、そして冬が終焉するころにレキがグリの街を旅立つことになる。一周四季がめぐって新しい春がやってきたときに丁度物語が閉じている。その間に、オールドホームの同志たちに頼り切りだったラッカが成長して、レキの心の闇を理解するようになり、受容し、そして最後はレキを助けることになる。灰羽連盟は世界観のディテールの部分に説明がほとんどなくて、一見よくわからない作品だけど、実は物語の骨組み自体は王道で、良い作品だと私は思う。

 この物語はレキとラッカがお互いに助け合う物語なわけですね。そこに人間同士の理想的な関係を垣間見ることができて、私は好きです。

岩倉玲音共和国その2

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 先日、大量の安倍吉俊の画集を読む機会に恵まれて、読み漁っていたら、安倍吉俊lainの造形になかなか苦労していたらしいことが分かった。というのも、ある画集にlainのプロトタイプと想像できる少女が数ページに渡って、ズバババと書きなぐられていたからです。

あのヘンテコなアシンメトリー・ヘアや、どことなくこの社会の存在ではないことを匂わせる雰囲気の少女は、それなりに考え抜かれた結果生み出されたキャラクターであったらしい。

 面白いのは、安倍吉俊が描けば描くほど「ほぉ~確かにこれはよりlainっぽいね」と思える方向に修正されていったことで、これは私がlainの最終形を知っているがゆえの誤解かもしれないが、キャラデザという作業は、よくわからないセンスやらインスピレーションでパッパと済んでしまうものではなくて、土台を固めて少しずつブラッシュアップしていく泥臭い作業なのだなと理解することができて、興味深かった。

 画集のそのほかの作品をみてみても、安倍吉俊の素描絵の中には、凄まじく良いものもあれば、なんだこれ?というたぐいの物もあって、才能溢れる人間も、作品を生み出すのには苦労しているんだろうなあということがおぼろげに分かって、いろいろ思うところがあった。

 まあでもとにかく第一に大切なのは何が何でも納得のいくまで描きまくることで、私はそれを、あの世に出ることの叶わなかったlainのプロトタイプ達、不出来なDuplication達によって理解することができた。

 エヴァQの中で、カヲル氏も言っていた。「納得のいく音が出るまで、鍵盤をたたき続けるんだよ」(多少、台詞は私の脳内で改変されてしまったかもしれない)